出雲観光ガイド

出雲そば特集

挽きぐるみで打つ風味豊かで味わい深い出雲蕎麦。その特徴や食べ方、オススメの出雲蕎麦のお店をご紹介します。

出雲そばとは

出雲そばは出雲地方を代表する食文化です。特徴の一つとして一般的なそばと比べて見た目が黒っぽいところにあります。

通常そば粉を作る時は、殻をむいたそばの実を一番粉から四番粉に分類します。そばの実の中心に行くほど白くなり、どの場所を使うかによってそばの種類も変わってきます。中心の白い部分、一番粉で打ったそばが、いわゆる「更科そば」と呼ばれるもので、出雲そばは粉の選別をせず、玄そば(殻のついたそばの実)をそのまま挽き込む「挽きぐるみ」と呼ばれる製粉方法で作ります。
そのため色は黒っぽくなりますが、栄養価と香りが高く、風味と食感の良いそばが出来上がるのです。

出雲地方には数多くのそば店があり、同じ出雲そばでも店それぞれに違いやこだわりがあります。郷土色豊かな出雲そばの食べ歩きや、店ごとのそばつゆの違いを比べるのも、出雲の旅の楽しみ方の一つです。

出雲そばは食べ方にも大きな特徴があります。冷たい「割子そば」と温かい「釜揚げそば」があり、どちらも共通して食べる時にそばつゆをかけていただきます。
それぞれの特徴と、食べ方をご紹介します。

割子そば

出雲そばと聞いて、三段に重なった赤くて丸い器を想像する方も多いのではないでしょうか。
江戸時代、松江の城下町では、野外でそばを食べるために弁当のような四角い重箱にそばを入れて持ち運んでいました。この地方では当時重箱のことを割子と呼んでおり、それが割子そばの始まりと言われます。しかし四角形だと隅が洗いにくく、不衛生との理由から、今のような円形の漆器に変わっていきました。
つゆは土瓶のような容器に入れ、食べる前に器の中のそばに直接かけて食していました。その当時のスタイルが、今に引き継がれているのです。

割子そば(三段)の食べ方

3段重ねたまま1段目の蕎麦の上に薬味を散らす

上からツユをかけて1段目を食べる(ツユの量はお好みで調節してください)

食べ終えたら残ったツユを2段目にかけ空の器は一番下に重ねる。2段目に薬味を散らし、ツユを追加して食べる3段目も同様にして食べる

そしてそばと一緒についてくる「そば湯」。ただの茹で汁と侮るなかれ、そば湯にはそばから溶け出したビタミンがたっぷりと含まれています。 こちらもお好みでそばつゆを入れてお召し上がりください。(塩分が気になる方はそのままいただくのをオススメします。)


釜揚げそば

割子そばが城下町松江の発祥であるのに対し、釜揚げそばは出雲大社をはじめとした神社周辺が発祥といわれています。
全国の神々が集まる旧暦の10月、出雲地方の神社では「神在祭」が執り行われますが、昔はこのお祭りの際に神社の周りに屋台が出て、温かい釜揚げで新蕎麦を振舞っていたといいます。

通常、そばは茹でた後に水洗いをしますが、屋台売りのため都度洗うわけにはいかず、鍋や釜から茹でたそばを器に盛り、とろみのあるそば湯を入れ、つゆや薬味をかけて食べていたようです。
そのスタイルが今に残り、割子そばと並んで出雲そばの代表的な食べ方になりました。
割子同様、自分でつゆを入れて味を調節できるのが特徴で、そばの栄養が溶け出したそば湯も一緒にいただくので、健康食としても注目されています。

神々がお集まりになる祭りから生まれた食文化、とろみのあるそば湯に浸かった香り高い出雲そばを食べながら、神代の出雲に思いを馳せてみては。

釜揚げそばの食べ方

そばつゆを入れ、お好みの濃さにしてお召し上がりください。


出雲そば商組合からご挨拶

出雲そば商組合は、出雲市にそば店を構える店主らで設立した団体です。出雲の食文化の代表であります「出雲そば」の美味しさと伝統を守り、そば技術の伝承と向上に寄与することを目的に日々精進しております。
地域の方から観光の方まで幅広い層のお客様に「出雲そば」を親しみ喜んでいただけること願っています。

2月11日は「出雲そばの日」

2月11日は出雲そばを伝えたとされる松江藩主・松平直政が信州・松本藩から出雲・松江藩に移ることを言い渡された日。
「出雲そばの日」記念日登録実行委員会(出雲そば商組合・松江そば組合、奥出雲)により、令和4年に記念日登録されました。