神話紹介

古事記とは?

古事記は日本最古の歴史書です。712年(和銅5年)に太安万侶(おおのやすまろ)によって献上され、2012年(平成24年)に1300年を迎えました。古事記上巻には天地創造や天岩戸、ヤマタノオロチ退治や因幡のシロウサギなどの有名な日本の神話や歴史などが書かれています。出雲地方を舞台にした神話はその上巻の3分の1を占めています。

因幡のシロウサギ神話

オオクニヌシ(だいこく様)には大勢の兄弟があり、その中でもいちばん心のやさしい神様でした。兄弟たちは因幡の国にヤカミヒメという美しい姫がいると聞き、会いに行くことになりました。一行は途中で泣いている一匹のうさぎを見つけ、オオクニヌシは訳を聞きました。「沖合いの島からこちらに渡ってみたいと思い、ワニザメに自分の仲間とどっちが多いか、くらべっこしようと言いました。ワニザメは私の言うとおりに背中を並べて、私はその上を数を数えるふりをしながら渡っていきました。もう少しというところで私はだましたことをつい言ってしまい、ワニザメを怒らせてしまいました。その仕返しにワニザメに皮を剥れてしまったのです」。オオクニヌシはそれを聞いて「すぐに真水で体を洗い、ガマの穂の上に寝転ぶといい」と教えてやりました。うさぎは言われた通りにすると傷が治り、すっかり元気になりました。その後、兄弟たちよりもずい分遅れてオオクニヌシは因幡の国に着きましたが、ヤカミヒメが夫にと求めたのは心やさしいオオクニヌシだったのです。

因幡のシロウサギ神話

出雲國風土記とは?

「出雲國風土記」は、733年(天平5年)に完成したほぼ完本の形で今日に伝わる唯一の風土記です。地名の由来のなかに出雲に伝えられていた神話が記されているのが特徴で、スサノオやヤツカミズオミヅヌの「国引き」のように古事記、日本書紀にはない風土記のみに記されている神話があります。こうした内容で、古代日本の各地に伝えられた神話の多様性や奥深さを知ることができます。

ヤマタノオロチ神話

昔々、スサノオが出雲の国にやってきました。すると斐伊川の上流で、一人の娘を囲んで泣いている老夫婦がいました。スサノオが理由を尋ねると「ヤマタノオロチに娘のクシナダヒメが食べられてしまう」とのこと。スサノオは「その娘を私に差し出すなら、オロチを退治してやろう。強い酒を造って置いておくように」と言いました。やがてオロチが地響きを立てながらやってきてガブガブと酒を飲み始め、酔っ払って、眠り始めました。その時、スサノオは刀を振りかざし、オロチの体を切り刻みました。オロチを無事退治したスサノオは、ここに姫と住むための宮殿を造ることにしました。スサノオは「八雲立つ 出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を」と詠みました。これが日本で初めて詠まれた和歌です。その後二人には多くの子どもが生まれ、その子孫のひとりが「因幡のシロウサギ」でも有名なオオクニヌシ(だいこく様)と言われています。出雲大社は、そのオオクニヌシをお祭りしています。

ヤマタノオロチ神話

日本書紀とは?

「日本書紀」は720年(養老4年)に完成した政府公認の正史です。「古事記」の成立から8年後のことでした。天武天皇が、治世晩年の天武681年(天武10年)に「帝紀」および「上古諸事」の編纂を川島皇子(かわしまのみこ)や忍壁皇子(おさかべのみこ)らに命令しました。およそ40年後の720年に舎人親王(とねりしんのう)が元正天皇に、その完成を奏上しました。「日本書紀」は、30巻と系図1巻からなり、「天地開闢」から持統天皇までを扱っています。